一歩に宿る意図



脚を前へと運ぶその瞬間


繊細で美しい無数のドラマが
静かに展開される


動きの中で
膝と足首が内側へと傾いていく
その微妙な角度は
本質的な要素である


この意識がなければ
所作は粗雑となり
歩みの中で
エレガンスは溶け去ってしまう


しかし、意識が過剰になれば
芸術そのものが消えてしまう


そのあいだ
体重のすべてを支える軸となる
軸脚は
決して揺らいではならない


この安定は
持久力から生まれるのではない


全身の筋肉が正しく融合し
身体全体が調和して
統合されることによって生まれる


この身体の調和は
また、生命が本来持つ
自己治癒の力を
呼び覚ます道でもある


それが
ハイヒールの哲学の中で
痛みや不快感が
次第に薄れていく理由の
ひとつである


決して忘れてはならないのが
この「時間の静止」の存在である


足が地面に触れる直前


ほとんど知覚できないほどの
意図的な静止―
時間がふっと止まったかのような
その一瞬の中に
ひとつの魔法が潜んでいる


目には見えないが
その間は確かに存在しており
私の哲学においては
それが意識的に置かれている


だからこそ
歩行は特別なオーラを放つ


この世界に存在する
あらゆる芸術と美は
計り知れないほどの複雑さが
結晶化したものである


それにも関わらず
私たちの目には
それは「単純」として映る


単純さとは
複雑さの欠如ではない


それは、複雑さが完全に統合され
もはや言葉を必要としない
沈黙の世界なのである








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一歩に宿る意図 一歩に宿る意図 Reviewed by Asami on 15.12.25 Rating: 5

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